忘れた頃にやってくる、マニアック映画の話題。
長文です。お時間のある方だけどうぞ。
ザ・ウォーター・ウォー
原題はeven the rain(雨さえも)。

さて本題に入ります。
「とうようの くにとおもった ころんぶす」
なんていう語呂あわせで年号を覚えた中学校の
歴史。1492年コロンブスが新大陸を発見。
授業ではそれ以上深いことは扱わないため、
コロンブスは歴史的偉業を成し遂げたという
イメージがあるかもしれません。
歴史的偉業、それは先住民にしてみれば悲劇の
始まりだったということを僕が知ったのは、いい大人に
なってからでした。まったくもって、無知でした。
〔ここから映画の話↓〕
*映画の中に映画撮影チームが登場します。ややこしや。
西洋のキリスト教的世界観を押し付け、発見した
新大陸で略奪を働くコロンブス。その姿をテーマに
映画を撮影する一行は、現地で先住民の反乱
首謀者役としてある男をキャスティングするが、
その男は水道民営化反対運動のリーダーだった。
映画の撮影チームは、自分たちがテーマにしている
コロンブスの話とこの男が関わっている水道民営化
反対運動(水戦争)がオーバーラップして見えてくる・・・
というお話。
〔歴史の話↓〕
水戦争。これは現実にボリビアのコチャバンバで
起きたことです。
1998年、世界銀行の指導によりボリビアは水道事業の
民営化法案を可決。アメリカの大手土木会社のベクテルと
事業契約を結ぶと、ベクテルは水道料金を3倍にし、
支払えない契約者への水道供給を停止する。
同社は住民自らが貯めた雨水にも料金を請求する。
雨さえも(even the rain)利用できないなんて!
住民の反対運動の結果、政府は住民投票を実施
する。同社との契約破棄への賛成が過半数という結果を
政府は無視し、これに抗議する市民のデモを軍が弾圧。
多数の死傷者を出す事態の末、2000年に政府は
同社に撤退を要求する。
この一連の水道民営化反対運動のリーダーが、
小柄な靴職人の「オスカル」という男でした。
お分かりだと思いますが、映画の中の映画撮影チーム
(ややこしいですね)がキャスティングした男は、
現実世界のオスカルをモデルにしています。
〔麻生太郎氏の話↓〕
そして麻生太郎氏、日本中の水道を民営化すると
公言している方です。
以下の動画の48分過ぎからの発言に注目してください。
http://www.ustream.tv/recorded/31681043
「水道の料金を99.99%回収するシステム」と言っている
部分、ここにはちょっと注意が必要です。水道民営化と
いってもいくつか契約の種類があって、大まかに言って
開始・検針や料金の収受業務だけを委託する契約と、
ボリビアのように価格決定も何もかも全て委託する契約が
あります。間違っていたらご指摘ください。
麻生氏がそのあたりをどこまで理解しているのか
分かりませんが、仮にこのあたりを意図的に曖昧に
しているとしたら、恐ろしいことです。
念のためですが、水道民営化を全部否定する
つもりはありません。公営水道に問題があることも
事実でしょう。
だからといって、麻生氏のように全てを民営化
するという意見には賛成できないというだけです。
民営化でうまくいくこともあるかもしれません。
コチャバンバやその他多くの都市のように失敗に
終わるかもしれません。そのあたりをしっかりと
時間をかけて議論したほうがいいと思うのです。
大阪市でも水道民営化について議論されている
ようです。私たちの命の水を営利企業に任せて
しまうことは何を意味するでしょう。拙速な議論だけは
避けてほしいものです。
まずは、皆さんのお住まいのところの水道が
誰によって運営されているか、調べてみませんか?
水道料金の請求書に何か書いてあるかも知れません。
水道事業大手のヴェオリア・ジェネッツのHPでは、
自治体からの受託実績を公開しています。↓
http://www.veolia.jp/ja/veolia-jenets/cs-business-results
*このザ・ウォーター・ウォーという映画、なかなか
レンタルしているお店がないようです。とまり木の
ライブラリにありますので、観てみたい方にお貸しします。
遠慮なくどうぞ。
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なりわいと手仕事の雑貨店 とまり木
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