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2016年2月26日金曜日

途上国は貧困か? 『人間性未来論』から考える その4





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 途上国は貧困か? 『人間性未来論』から考える その6

 途上国は貧困か? 『人間性未来論』から考える その7
 



共同体の維持のためには、お互いに許しあい、
見逃しあう必要があった、というのが前回まで。






本書では「相互信頼に基づく相互扶助」という表現も
使われていますが、いわゆる昭和の時代の下町に
あった人情物語というとこでしょうか。


近代化の過程で失われていった人情。

あるいは共同体の解体という言い方も。



さてそれはどのようなメカニズムなのか?

途上国の近代化に伴い同じことが起こるのか?



ようやく途上国の話になりました(^^)




中田氏は、途上国の経済発展の条件として
企業の発展が必須だとし、ではその企業の
発展のためには何が必要か、と続けます。


資本・労働・土地(資源)。


この3要素のうち、資本は企業自身が投資家から
集めるもの。では労働と土地は?

いうまでもなく途上国の村にあります。


しかし伝統的な自給自足経済で維持されてきた
村は、労働力や土地をすぐに供給できるわけもない。
というより、供給する必要がない。自給自足で
事足りているのだから。


必要な食糧・衣服・住居・教育や介護といった
サービスまで、全て共同体の中で担っているのに、
どうして企業のために労働力を提供する必要が
あるだろう?


企業側の視点で見ると、自給自足経済から
資本主義経済へと移行してもらわないと困る
わけだ。儲からないもの。


ということは、村人は農業や漁業、手工業を
捨てて企業の労働力になってくれ、という訳です。


こうなると村からは生産という機能が消え、
生活の場だけになってしまう。


教育にしても同じです。企業が求める人材になる
ためには高度な教育が必要。政府は公教育を
推進し、学校が建つことになる。そして村で担って
いた教育機能が衰退する。


働き手がサラリーマン化して都会に出て行き、
村には女手と老人が残る。農作業のために
機会が導入され、交通が便利になれば遠くの
お店に買い物に行くようになり、近所づきあいも
希薄になる。


必要なくなった機能から消えていき、最後には
村そのものが維持できなくなる。いわゆる
「限界集落」だ。


このような考察を元に中田氏は、共同体の
崩壊は経済発展の副作用として起こるのでは
なく、必要条件だったといいます。




本書の中でも極めて重要な部分に近づき
つつあります。続きはまた次回!






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